結城初枝(大阪市立東粉浜小学校一年担任:当時)
未來さんに会えたのは確か入学式当日だったように思います。未來さんは、この一年間一年一組のお友だちを中心に一年生のみんなとともに生活することになります。また卒業までの六年間、東粉浜小での生活の中で多くのお友だちと出会い過ごしていくことになります。東粉浜小の児童を通じ保護者の皆様に、さらには地域の方々に未來さんのことを知って理解してもらえたら…と考えました。

それはできるだけ早く、入学した今しかないと思いました。私が全校児童に話ができるのは対面式の時で、その場が一番いいのではないかと考えました。そこで未來さんの投稿に付き添って来られたお母様に未來さんの様子を全校児童に話させてもらっていいかと尋ね許可をいただきました。とは言え、不安もありました。全校児童に話すことが、本当にいいのだろうか、話すことで未來さんが、ご両親が後々いやな思いをすることがないだろうかと不安はありましたが、これからのことを考えるとやはり未來さんのことはわかって欲しい…と複雑な思いもあってか対面式当日のことは覚えています。講堂で全校児童が座っている前に一年生が入場しました。対面式の進行で代表より一年生へのお祝いの言葉の後、最後に私の方から在校生に話をしました。
「みなさんはバギーで入場した新しい友だちに気付きましたね。そのお友だちの名前は、門川未來さんと言って一年一組に在籍します。未來さんは今は歩くことができません。だからバギーで登下校し、校内もバギーで移動します。また今は自分からみなさんにお話しすることができません。でもみなさんが話しかけてくれることはよくわかります。廊下や中庭、運動場で未來さんを見かけたら声をかけてください。言葉でかえすことはできないけれど、きっと笑顔でかえしてくれることと思います。みなさんの温かい言葉がけを待っています。声をかけてくださいね。どうぞよろしくお願いします」
同じことは一年一組のみんなにも話しました。さらに「未來さんが学級にいない時もあるよ。学習室で立ったり歩いたり、未來さんの体の調子に合わせて訓練しているよ。教室にいない時もあるけど心配しなくていいよ」ということも伝えていきました。

退職を伸ばして担任を買って出たこともあり、わずか一年間のつながりだった未來さん。でも多くのことを教えてもらいました。人に優しくすることの大切さ、互いに認め合うことの大切さを。それは、東粉浜小は学年二クラスで規模が大きくない学校だったこともあるでしょうし、温かい気持ちをもった子どもたちや保護者が多かったこともあるでしょう。そして何よりご両親は愛情いっぱいに未來さんを育てるだけでなく、小学校、中学校、それ以降もそれぞれの子どもたちの良さや努力等を認め、温かい言葉をかけたその姿が、子どもたちの心に響き喜びとなり、人に対する温かい気持ちにつながっていたのではないかと思われます。東粉浜小の児童を通し保護者に、さらには地域の人に理解して欲しいという思いはありましたが、ご両親がずっとお友だちに恵まれたことを未來さんとともに喜んでおられることは私自身こんなに嬉しいことはありません。
